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地図 6)宿題の地図

その昔、小学校の1-2年だったと思う、「家から学校までの地図を書きなさい」という宿題が出た。

僕は一瞬、気が遠くなった。家から学校までは 4.5 km ぐらいある。道は長くて曲がりくねっているのだ。枝道だって数知れない。途中に橋が3つ、公会堂が3つ、火の見やぐらが2つ、牧場が1つ、民家と田んぼは山ほどあるし、山は山でそこらじゅう山だらけだ。それを、たぶん B4 だったろう、藁半紙1枚に書けという。そんなもん、書けるかぁ。

「先生、ぼくら、ごっつ長い道やもん、省略して書いてもええか」と言うと、小林先生は「うん、かまへんよ」と言った。柴田先生だったかも知れない。柴田先生なら、「はい、良いですよ」だな。

ともかく、次の日、木原少年が提出したのは思いっきり省略した地図だった。

宿題の地図

先生の方こそ、気が遠くなったのでないかと思うが、本人は平気の平左。むしろ、無意味なものをバッサリ切り捨てる抽象化技法を発見したことに得意満面だった。それに、「省略して良い」という約束も取っているしね。

思えば、この時にまじめな努力を惜しんだ罰が当たって、生涯にわたる方向音痴が定まったんだな、きっと。地理空間の把握はどうも苦手だ。

1997年8月作成

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